2014年 03月 18日
肥料と農薬の配達
農家さんのおうちは見晴らしの良いところに、だいたい
建っています。
なので、配達後にちょっとお茶を出していただいた時は
眼下に広がる田んぼを見渡しながらの一服となります。
気持ちいい~
今はまだ何も植えられていませんが、初夏の青々としたイネ、
収穫間際の黄金色のイネが広がる景色はなかなかのものです。
そしてこの風景は70歳以上の方々によって、支えられて
います。当の本人たちは田舎の風景を守る、というより
しなくちゃならんことを静かに毎年行っている、という
感覚だそうです。
この地区にはほとんど耕作放棄されている田はありません。
先祖から引き継いでいるから荒らすわけにはいかん、という
思いで毎年作付をかかすことなく今に続いています。
中には、JAや私どものような業者に売ることなく、自ら
販売している農家さんもおります。
そういう方は田を管理出来なくなった方の田んぼを借りて
作付を行ってますので、これまた必要な存在です。
さて、そんな方たちの米作りを支えているのが、化学肥料と農薬
であるわけです。
今の肥料はとっても便利で、田植えの時に苗を植えるのと同時に
肥料をまいておくと、もうそれだけで収穫するときまで
一度もまかなくても良いのです。
反辺りの分量と水温には気を付けますが、ほとんど手間が
いりません。
そして、農薬の一番の功労はやはり除草効果だと思います。
腰をかがめて草抜きをしなくても良いのです。
ヒエなど時間差で伸びてくる草を収穫前に抜きに
入られているのを見かけることがありますが、やはり
余力がある方にとどまります。
昨年、肥料と農薬を使わない栽培方法を試してみて
その素晴らしさは初年度ながら実感しました。
そしてぜひ広めたいという思いが募りました。
しかし同時に、自ら取り組む意志がなければ、この栽培法は
無理だと思いました。誰かにやってくれと言われて出来る
ものではありません。
昨年は朝日とヒカリ新世紀という品種を試しました。
朝日を植えたとこは、幸い前年まで畑として使われていたために、水生の
草はほぼ生えてこなかったので、ほとんど労力がかかりま
せんでした。
しかし、ヒカリ新世紀を植えたとこは、もともと草の多い田んぼで
農薬のない環境に羽を伸ばすかのように、信じられないくらい
草が生えてきました。六畝ほどの小さな田んぼでしたが、とても
一人で抜ききれる量ではありません。
当然収量も通常の2割ほどしかあがらず、散々な結果となりました。
田んぼを選べない新規就農の方、自分とこの田のみ管理している
農家さんにとって、こんなことになると生活していけません。
そうでなくても、肥料と農薬を使って出来たお米は、既存の流通に
乗せれば、作れば作るほど赤字なのです。
だったらどうすればいいんだ、と答えが分かりません。
これから10年の間に、この地区も大きく変わるでしょう。
今まだ米作りを元気にされている間に、何か対策を
打たなければという思いだけが先走っています。