「第1刷発行」
この文字を見て「おっ!」となる人は僕を含めかなりいるのではないだろうか。
専門書を買うときは決まって本の一番裏の「発行年」を確認するものだ。その情報がいつのものかまず頭に入れておく必要があるから。
だけど、古本屋で出会った場合はまた違ったことを想像する。
その本が誰の手を渡ってきて、どんな扱いをされてきたのか、ということ。
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最近久々にはまっているマンガがある。
それがこちら。
「DAYS」
週刊マガジンで連載中の高校サッカーを舞台にした人間ドラマである。
泣けるマンガと聞いたから、誰が泣くもんかと思っていたけど、毎度ウルウルさせられております。
さて、一見違いが無さそうな写真の二冊ですが、発行された日が違う。
四巻は「第11刷」で2016年、八巻は「第1刷」で2014年なんですね。
お分かりの通り、四巻は二日ほど前に本屋で買って、八巻は古本屋で買ったものだ。
「第1刷」と「第11刷」との時間差はわずか二年ほどなので、人気コミックなんだなということは分かる。
それに加えて、伝わってくるのは、あーなんか分からんけど大切に読まれてたんだなってこと。
何でそんなことを思うかというと、八巻に付いてる「帯」。
普通は帯を大事に取ってないでしょ?
すぐ捨てない?
もちろん汚れも無ければ、折り目もない。
こういう本は大事にしなくちゃいけんなと思ってしまう。
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昨年から作付の面積が増えたことで、もう使わなくなった苗箱を農家さんからいただくことがあった。
そんな時はその農家さんがこれまでどんな思いで米を作ってきたかが分かる気がした。
苗箱は、その年の籾が初めて接するための土が敷かれる場所。
米作りは「苗半作」と言われ、苗の出来はその年の秋の出来が左右されるほど米農家に取って重要な仕事だ。
その苗箱はほとんどがプラスチック製であるため、放っておけばグニャっと曲がってしまうもの。
野ざらしにしておけば、風雨と日差しでパリパリになったりもする。
でも、ちゃんと屋内に管理して、20枚ずつほど紐で縛っておけば変形することなく長く使えるものでもある。
この苗箱を大事にしない農家はわりといる。
特に苗箱を曲げちゃうような農家は駄目だなと思う。
なぜなら、米作りにおいて「平ら」であることは何よりも大事なことだからだ。
その基本であり大原則であることをおろそかにしていれば、自ずとどんな米作りをしてきたか想像がつくようなものだ。
昨年受け取った苗箱は土はきれいに落とされ、鳥取砂丘の馬の瀬から見た水平線のごとくまっ平らが保たれてた。
そんな苗箱を受け取って雑に扱えれる人なんていないと思う。
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大切にされてきた物は、かなりの確率で次に渡った手にも大切にされる。
それはマンガでも、家でも、服でも、ましてや人の意志なんかも同じことなんではないだろうか。
使い捨ての時代だからこそ、良いものをという考えもあるが、まず目の前にある物を大切に使いましよって思った次第で。
ちなみに10年近く来てたユニクロの服は、残念ながら誰の手にも渡らず廃棄されてしまいました。