苗箱の土入れは腰に来る作業です。
いかにして楽に作業が出来るか考えて工夫していますが、結局のところ機械を導入することが効率化にはてっとり早いです。
機械を買えば時間の短縮や作業の効率化はいともたやすく解決されることが多いです。
ただ、今ある道具と機械で出来る限り工夫をしてみることもおすすめです。
後に機械を買ってからも、その経験は生きてくると思うからです。
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今年も苗箱の土入れを行いました。
リフトでパレットを持ち上げ、そこに土を入れる容器、その上に板を渡し苗箱を置き、一枚ずつ土を入れています。
この程度のことですが、実は初めからやっていたわけではありません。
初年度は二十枚程度だったため、地面に並べて土を入れていました。
段ボールを地面に敷いて、こぼれた土は後から掃除をしていました。
これは始めから終わりまでずっと中腰で前かがみのため、大変腰にきました。
二年目は40枚に増えたので、さすがに地面に並べるにも場所がなく、上の写真のように容器に土を入れ、その容器の上で土入れをすることを思い付きました。
ただし、その容器は地面に置いての作業だったので、同じように腰にかなり負担がかかりました。
三年目にして、ようやく今のリフトを使っての作業に落ち着いたというわけです。
そして、六年目にして土入れから播種、覆土まで出来る機械を今年導入しました。
試運転してみたところ、播種から覆土までかかる時間は13秒(!)で出来ることが分かりました。
床土を入れる作業は実はそんなに時間かからず出来ます(さすがに13秒では無理ですが)。
問題は播種から覆土までの作業です。
きっちり種籾(催芽籾)の重さを計って蒔いているので、かなり時間がかかります。
それをほぼ違わずに蒔けて、おまけに13秒とくれば試してみたいと思わずにはいられません。
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種籾の重さを計り、種蒔き機に入れ種を蒔き、覆土をかぶせて完成。
言葉にすればこれだけの作業ですが、手動の種蒔き機では、種籾を一通り全ての苗箱に蒔いてからしか、覆土をかぶせれません。
ですので、種を蒔いてから、覆土をかぶせるまで、何も考えていないと、苗箱があっちいったりこっち来たりするはめになります。
作業最後には田んぼへの搬出を行うので、覆土をかぶせ完成した苗箱は出口に近いところに置く必要があります。
そのために苗箱を置く位置には工夫がいります。
また、品種が複数あれば混ざらないように置く位置を考えなければいけません。
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作業する高さを変える、苗箱の置く位置を考えるといった小さな工夫をすることで、腰にかかる負担、苗箱を運ぶ手間はある程度軽減されてきましたが、それはいくら工夫を重ねても、各駅停車の電車で目的地に向かっているものと同じかもしれません。
床土、播種、散水、覆土までの一連の作業が出来る機械を導入することは新幹線に乗り換えるようなものです。
既にこうした機械があれば、わざわざ各駅停車の電車に乗る必要はないかもしれませんが、そうでないのならまずは各駅停車しながらも前に進むこともわるくはないです。
僕は米屋に産まれましたが、お米はこれまで作ることはありませんでした。
ですので、各駅停車の電車どころか、徒歩から始めたようなものです。
始めからある程度広く作付けをするのでなければ、また引き継いだ田んぼに始めて取り組むような場合には、既存の道具を使い工夫をしながら効率化を考えてみてはいかがでしょうか。