2018年 05月 11日
五年間のうちに試した苗代 無肥料なら根を伸ばすためにも大地とつなげてあげたほうが良い ♯545
そのように考えるに至った経緯をご紹介いたします。
これまでの苗代の変遷 2013年~2017年
・初年度 プール育苗
シートはべたがけ。平置き出芽で芽を出させ、その後1葉~1.5葉辺りで入水を始めます。
この年は苗箱の底に新聞紙を敷いただけでしたので、苗箱の裏にビッシリと根が絡みとても剥がしにくくなりました。
苗箱の中だけでなく、外にも根が伸びたため、小さいですが固い苗になりました。
・二年目 プール育苗
前年度と同様にプール育苗を採用。
今回は「カルネッコ」という資材を苗箱に敷き、根を外に伸ばさないようにしました。
前年同様に小さな苗でしたが、根張りは良く、固い苗に仕上がりました。
これでも四枚目の葉が出てきています。。。
・三年目 保温折衷苗代を採用(田んぼの一部に苗代)
三年面は保温折衷苗代を採用しました。
この年からトンネル管理も合わせて始めました。
設置にかかる労力と、うわさに聞く温度管理の困難さから敬遠していましたが、これまで二年間の経験から温度が足りないと判断した結果です。
温度管理と同様に、根を伸ばすことを意識し始めたのはこの年からでした。
根を伸ばすために苗箱の底は再び新聞紙に戻し、苗代から剥がしやすいように根切りネットを敷きます。
その上に苗箱を並べていきました。
結果的に大きさでいえば、いちばん大きな苗に仕上がりました。
これまで6センチ~8センチほどの苗が、同じ3~4葉で10センチ~13センチぐらいに育ちました。
想定通り、根は苗箱を貫通して地に伸び、剥がす時にはベリベリと音が鳴るほどでした。
この経験から根をいかに伸ばしてやるかを考え始めました。
・四年目 保温乾田苗代(田んぼ全面耕起)
初めに言いますと、これは大失敗でした。
前年同様に水をためる折衷苗代でやらず、この年はざっくりと田を起こしただけで、苗箱を並べました。
田面はデコボコ、毎日毎日100枚を超える苗箱に水路から水を汲んでジョウロに入れての水やり。
結果として、半分以上が病気に侵され使用不可能。
残った苗もほとんど成長しておらず、葉色は黄緑を通り越して黄色になり、とても弱弱しいものでした。
なぜ前回と同じやり方をしなかったのかには理由があります。
一つは、苗箱の搬出・搬入の困難さの軽減のため。
二つは、畑根のほうが田植え初期に活着が良いという情報を聞いたから。
代掻き後の田んぼは、ぬかるみ歩きにくいです。
苗箱は散水前であっても、二枚で5kgほどとなかなか重く、それを抱えて田んぼの中を出入りするのは重労働です。
それならと水を入れなければ良いのではと考え、試してみました。
また、プール育苗のように始終水に浸けていると、初めから水根になります。
畑根には細かな細根がびっしり生えるのに比べて、水根はツルンとしています。稲は水に浸かったままだと、根の細根を無くす代わりに、たくさんの根を出します。
当初はその水根が田植え初期には生育が良いと聞いていたので、プール育苗を採用することに迷いはありませんでした。
ところが、この年乾田苗代で育てた苗で反10俵近く採る人の話を聞いて、それならと試してみたのです。
乾田苗代をするには、苗代に直播かポット苗でなければ難しいと聞いたのはその翌年のことでした。。。
この年は苗の根を伸ばして健苗を育てるどころか、田植えすらできない状況になったのでした。
・五年目 保温折衷苗代(田んぼ全面代掻き)
再び保温折衷苗代に戻しました。
三年目と違う点は、田んぼを全面代掻きを行った点です。
結果から申しますと、これはほぼ理想通りの苗に仕上がりました。
部分的な苗代ですと、どうしても一日中水をためておくことが難しく、朝に入水しても昼前には空っぽになっているという状況です。
一方、全面代掻きを行うと、水を一日張っておくことが可能でした。
プール育苗では制限される根も、地面に直接置けば根を地中に伸ばすことが出来、30日を超えても葉先まで気持ちの良い萌木色をしていました。
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肥料を入れないのならば、根を伸ばしてやればよい。
これまでの五年間の経験で地上部より、地下部に重点を置くことを意識しています。
それは本田での管理でも同じなのです。
田んぼを荒く起こす、代掻きはトロトロにしすぎない、こうしたことは根を意識した本田管理です。
肥料に頼らずに苗を育てるのなら、ぜひ大地に根を張らしてやることを試してみていただければ。
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