2018年 05月 24日
自然栽培を独学で始めるために参考にした書籍三冊 #558
稲を自然栽培で始めたいと思った時、何から始めれば良いでしょうか。
僕は米作りをそもそもしたことが無かったので本を読むことから始めました。
その中で参考になった書籍三冊をご紹介します。
※自然栽培とは、肥料と農薬に頼らず植物と土の本来持つ力を引き出す農業のことです。
ここでいう肥料は、化学肥料、堆肥(動物性・植物性問わず)など外部から人為的に養分供給を目的に施されるもの。農薬は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤など。
自然栽培を体系的に表した書籍は無い
僕は独学で始めようと思った時に、まず探したのが自然栽培について書いてある本でした。
しかし近所の本屋を回って探しましたが、当時2013年には、自然栽培に特化した本は一冊も見当たりませんでした。
現在ですら、「自然栽培の稲作り」「自然栽培の米作り」といった、自然栽培を体系的に表した書籍は一冊もありません。
ただ、有機栽培や無農薬による栽培方法が書かれてあるもの、米作りの一連の作業を書いた本は見受けられます。
その中で、これから稲の自然栽培を独学で始めようとする方に参考になりそうな本を三冊ご紹介します。
「おすすめの書籍三冊」
「あなたにもできる無農薬・有機のイネつくり」稲葉光國著
当時自然栽培を始める前に読んだ本です。
2012年の2月頃、今年から米作りを止めるという農家さんの田んぼをお借りすることになりました。
米作りといえば、田植えと稲刈り、あとは肥料と農薬を降る、という断片的なことだけは知っていた頃です。
こちらの本では、特に苗作りに関して今でもお世話になっています。
種籾の塩水選、温湯消毒のやり方と解説が詳しく載っていて、今でも作業に取り掛かる前に目を通しています。
また、水田雑草と呼ばれる代表的なヒエ・コナギという草の生態や抑草方法も詳しく載っています。
ヒエという草は本当に農家に嫌われている草ですが、水深を苗の成長に合わせて5センチから上げていき、一カ月間15センチ以上を保てば抑草が可能だと知った時は驚きました。
水田という人間が作った農耕地であっても、いやだからこそ、人間の関わり方でその地の生態系が豊かにもなるし貧しくもなります。
目に見えない微生物から始まる食物連鎖の輪の中に稲も存在することが大切なのです。
「不耕起でよみがえる」岩澤信夫著
こちらの本には苗の成長過程が図解で載っています。
成苗という葉が5.5枚までの理想の苗姿はどのようなものかが分かります。
不耕起とは、文字通り田を耕さないことです。
著者の栽培方法は、地域により田んぼにより採用出来る場所は限られますが、エネルギーの視点で言えば画期的な方法です。
米作りの歴史、苗代の変遷、田んぼの浄水場としての機能などが詳しく載っていて、読み物としても楽しめる本です。
「実際家の自然農法イネつくり」自然農法国際研究開発センター編
数々の本で「米作り」ではなく「イネつくり」と書かれてる理由は、実際にイネを育ててみることで腑に落ちてきます。
僕たちは「米」を作ることは出来ません。僕たちができる事は「イネが育つことの手助け」と「イネが育つ田んぼを整えること」だけなのです。
屁理屈のように聞こえるかもしれませんね。
ですが、肥料を与えずともイネは与えられた環境で育ち、農薬を与えずとも大きな病気にかからず実をつける姿を見ていれば、人間に出来ることは「手助け」だけなのだと納得出来ます。
こちらの本には、堆肥を使用している方を含め、日本各地で化学肥料・農薬を使用せずに収量を上げている農家とその栽培方法が具体的に載っています。
「田作り」という言葉を始めて目にしたのはこちらの本を読んだ時です。
カテゴリが「東北・寒冷地」「中国・暖地」など分かれています。
栽培方法を参考にする時は、その人がどこでその栽培方法を行っているかが重要です。
寒冷地の技術が暖地で使えるとは限りませんし、暖地の技術は寒冷地では使えない場合が多いのです。
ほぼ全ての本は肥料と農薬を使うことを前提としている
本屋に並んでいる米作り、イネ作りの本は「肥料(化学肥料、有機肥料)と農薬の使用」を前提にしている場合がほとんどです。
ですので、例えば有機肥料が使われてる場合は、この収量は有機肥料を使うことで得られる収量なんだな、といった前提を踏まえて読み進めて、では肥料を使わなければどうアレンジすればいいかな、と考えることが必要です。
イネつくりに対する考え方、取り組み方は人それぞれです。
上の三冊はそれぞれ取り組み方が異なりますが、自然栽培を始めるにあたって参考になるかなと思います。
どの本から読めば良いかと迷った時に、ぜひ参考にしていただければ。
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