2018年 06月 05日
代掻き後の濁り水を川に流さないために出来ること 田んぼの水位のこと #570
田植え前に田の水を排水する農家さんは多いです。
一週間ほど置き、濁りがなくなってから落とす人もいれば、そうでない人もいます。
代掻き後の濁った水を流さないために出来ることがあります。
代掻き後に排水する理由
代掻き後に排水する理由は、田植えをしやすくするためです。
使っている田植え機により、その植え付け精度は異なりますが、僕が使っている田植機の取説を読みますと、ひたひた水で行うことを推奨しています。
ひたひた水以上に水位を上げる理由があります。
田植え前に除草剤を撒くためです。
水が減り土が水から出ると除草剤の効果は薄まります。
田を平らにしておくことは大前提ですが、真っ平にすることは難しく、土の高い低いはあります。ひたひた水だと除草剤か効く前に高い部分が水から出るかもしれない、そうならないために水位を少し上げておく必要がありす。
田植え前後にまく除草剤には、液状・粒状のものがあり、どちらも水によってその成分が田面全体に広まります。
広がった成分はやがて田の表層部分に浸透し、発芽しかけた草の芽に効果を発揮します。
田植え前に除草剤を使う場合は、除草剤の注意書きにもあるように、一週間ほどは排水を禁止されています。
ですので、田の濁りは薄まるか、消えている場合があります。
(もっとも濁りが消えていても、除草剤散布後の排水は気になりますが)
一方で田植え前には除草剤を撒かずに、代掻き後の濁り水を排水してしまっている人も多いです。
僕も実はその内の一人でした。
昨年は、田植え前の初期除草を兼ねて、深水で代掻きを行い、生えている草を浮かせて除去する目的は果たせました。
しかし、田植えをするには難しいほどの水位です。
除草剤を撒かずに一週間も濁りが収まるのを待っていれば、再び草がわんさか生えてきます。
やむを得ず、濁り水を排水していました。
田植え前に排水せずに済む方法
田植え前に排水しないためには、代掻きを田植えが出来る水位で行えば良いのです。
ひたひた水、浅水といった言い方をしますが、代掻きの時点で田植えの水位を決めます。
昨年は代掻きを利用した初期除草をするために、水位を5センチ以上に上げていました。
ある程度の水の深さがないと、草を浮かせられないからです。
草を浮かせられないなら、草を埋め込むか、そもそも草を大きくさせる前に代掻きを行うかの二つの方法があります。
今回は、後者の方法を選びました。
一回目の代掻きから一週間ほど空けて、二回目の代掻きを行いました。
5月下旬から6月上旬では、川の水温も20度近く上がっているため、田んぼに水を5センチほど張ればすぐに草が動き始めます。
一週間あれば草の芽が出始めます。
そこを二回目の代掻きを行えば、水位を低く維持したまま、初期の除草も可能になります。
川下の水利用者に対する意識
お借りしている田んぼは、山手のほうから川下のほうまで各地に点々としています。
全ての田んぼは川の水を使っていて、田植え前になると、場所によってはひどい濁り水を使わざるをえないこともあります。
前述のとおり、除草剤散布後に水が透明になって排水される場合もあり、水が濁っていないからきれいとは言い切れません。
自分の田んぼに濁り水を引き入れることで、川に流さないようにする、という考えもあります。
ただ、川の水は米作りをする全ての人が利用するものであり、自分が濁り水を使うのは嫌だなと思うので、僕はなるべく流さないような工夫をしています。
(田んぼからの濁り水には、草の種が混じっていることもあり、除草剤を使わない身としては、なるべく入れたくはないところです。)
田んぼの管理・作業の仕方は人それぞれのやり方があるとは思います。
当然のように、代掻き後の濁り水を排水するのではなく、工夫の余地はあります。
ぜひ、自分だけでなく川下の水利用者のことも考えてみましょう。
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