2019年 03月 03日
トラクターのタイヤに付いた土は田んぼで落としていますか?
トラクターのタイヤについた田んぼの土は、その田んぼで落とすようにしています。
なんでそんな面倒なことをしているかを考えると、『もったいない』に行き着きました。
いつ田んぼの土が付くのか
米作りにおいてトラクターを使う時期は、一般的には秋・冬・春の夏以外です。
稲刈り後に一回、冬に一回(か二回)、春に一回(か二回)それぞれ田を耕し、田植え前には代掻き(土と水を混ぜ合わす作業)を一回(か二回)行います。
一般的にトラクターを使う場面は年に少なくとも四回あります。多い人で七回くらい。
さて、それでは年間の作業の内、田んぼの土がトラクターのタイヤに付くのはいつなのか。
答えは毎回です。
正確には、土が乾いていないと田んぼに入るたび毎回です。
まだあまり土が乾いておらず、長靴で歩いても足にベトっとつく時にトラクター入れようものなら後々が大変。
逆に、土がよく乾いていると全くといっていいほど、土は付きません。
本来はスニーカーで歩いても足裏が汚れない程度乾いている時にトラクターを入れるのが望ましいのですが、田んぼの土質、春先の天気、作業の段取りにより、柔らかくても入れざるを得ない場合もあります。
代掻き時は、水が入っているので、耕す時ほど土はつきません。泥水がタイヤにかかっている程度で済みます。
田んぼの土の落とし方
トラクターのタイヤに付いた土を落とすには、移植ゴテ(手の平サイズの小さなスコップ)を使います。
トラクターの座席後ろに乗せておき、作業終わりにタイヤに土が付いていれば、都度削り落とします。
まぁ手でもグイグイ力を込めればそれなりに取れるのですが、移植ゴテを使うほうが楽です。
トラクターの重さが1トン以上あるのはザラで、その重さでグリグリ土を練ればそれなりにしっかりとこびりつきます。
圃場がまだ柔らかいとこのようにタイヤの溝が埋まるほどこびりつきます。
面倒でもその場で落とし、田んぼに戻しておきます。
このように土をある程度落としてから、次の圃場へと向かいます。
タイヤの下の方についた土も、車体を少し前進させて上部に持ってきて落としておきます。
なぜ、もったいないのか
以前、僕がいつものようにタイヤの土を削り落としていると、『何をやっているんだ?』と声をかけられたことがあります。
土を落としていると、普通に答えると、その人はさも呆れたかのように
『そんなん、道を走ってたら落ちるだろう。農道(舗装されていない土の道)だから気にせず落としていけばいい。』
わざわざ他人の田んぼの畦(田んぼは私有地であり、その畦も同様に扱われる)を通ってこちらまで言いにきたぐらいですから、よっぽど僕がおかしなことをしているように見えたのでしょう。
田んぼ周辺の道路は土道だけではなく、アスファルト舗装された道路であることがあります。
国道沿いの田んぼなどは、その多くが田んぼを一歩出れば辺りはアスファルト舗装された道路です。
そんな舗装道路の場合、落とした土を回収することは農業者のマナーですが、土道となると一変誰しも気にしなくなります。
では、上記の人が見るに耐えかねたほど面倒なことを僕がなぜしているのかというと、土がもったいないからです。
なぜもったいないのかというと、今の目の前にある土になるのに何年もかかっているからです。
僕が見ている田んぼで一番長いものは六年経過し、今年で七年目に入ります。
その間、一切の肥料(化学肥料、堆肥含む)と農薬(殺菌剤、殺虫剤、除草剤など)を入れていません。
一般的に『土作り』というと、田んぼに堆肥(植物性、動物性問わず)を入れることを指します。化学肥料を入れることが土作りだと言っている人もいます。
僕の場合は、「何も入れない」ことが土作り。
そして、六年間一切外部からの物資を入れてこなかった土は周りには無く、代えはききません。
この場所で六年が経たないと、今の土にならないのです。
資材に頼らないからこそ、今目の前の土で栽培することになり、必然大切に思えてくる。
だから、土道であれアスファルト舗装された道路であれ、落して気にするかどうかという問題ではないのです。
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