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稲に関する4つの作り「米作り」「稲作り」「田作り」「土作り」を解説


『田んぼで稲という植物を育てること』を一般的には『米作り』と言います。
他にも似たような言い方があります。


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※米作り3年目に導入した和同除草機


米作りには4つの『作り』がある


米作りには4つの作りがあります。

それは、米作り、稲作り、田作り、土作りの4つです。

それぞれ意味合いが異なります。
米作り歴六年の僕の現時点での解釈を紹介しますと下記のようになります。


米作りとは、お客様目線に立つこと。
稲作りとは、水平をとること。
田作りとは、よく乾かすこと。
土作りとは、何も入れないこと。



聞き慣れない言葉があると思いますが一つ一つ解説します。



『米作り』『稲作り』『田作り』『土作り』4つの作りを解説します


まずは、一般的によく耳にする『米作り』という言葉。


これを一言でいうと、「お客様目線に立つこと」と言えます。
(ここでいうお客様とは、新規、既存を含める)

計画、生産、精米、販売、そして利益まで総括して考えることを米作りと表現します。

品種は何を植えるか、どれだけ作るか、栽培方法はどうするか、生産は委託するのか、農機具は自前で買うのか、玄米で売るのか、白米で売るのか、誰に売るのか、生産・販売・営業にかかる経費はどの程度か、キロ辺りいくらの利益が出るのかを考え、最終的にお客様にいくらで販売するのかを決めます。

安く作ることは販売価格を下げることになります。また肥料や農薬の量を減らす、または一切使わないこともそういったお米を必要とされるお客様の目線に立つといえます。

米を作っても売れないというパターンは、まず初めの『米作り』の計画を見直す必要があります。



次に、『稲作り』です。


稲作りを一言でいうと、「水平をとること」と言えます。
田を耕す、育苗、田植え、肥料・農薬の散布(または除草作業)、稲刈りなどそれぞれの作業の総称を稲作りと表現しています。

そして、どの作業の時点においても「水平であること」が求められます。

僕は六年間除草剤を使わずに草を抜いてきました。
四年目までは「草を効率よく抜く手段」ばかりを調べ、研究していました。今でもその研究は続けていますが、もっと大事なことがあることに気が付きました。
それが、田が「水平」であること。

無農薬栽培の作業の中には、除草作業があります。

真夏の炎天下に中腰で、来る日も来る日も大きくなった草を抜き続ける、という大変なイメージが一般的ではないでしょうか。
そのイメージは間違ってはいません。

確かに僕もこれまで一度として手除草(手で抜くこと)に入らずに済んだ田んぼは無く、毎年田んぼに入るはめになっています。

しかし、六年間毎年同じ量の草を手で抜いていたかというとそうではありません。
ここ二年は手除草に入る時間は減り、手で抜く草も減ってきています。(除草機は変わらず同じ時間動かしていますが。)

特別な除草機を導入したわけではなく、また特別なことをしたわけでもありません。
稲作りの基本中の基本である「水平」を意識しただけなのです。
田面が水平であれば、等しく水を張ることが出来、実はそれだけで成長を抑えれる草もあります。

また、化学肥料や除草剤を撒く場合でも、田が水平であれば肥料が稲に等しく効き、除草剤の効果も最大限に発揮されます。
化学肥料も除草剤も水に溶ける性質なため、土が水から出ていると、水に浸かっている箇所と比べて効きに差が出てしまいます。

苗作りにおいても同様です。一般的に苗は水稲用の苗箱(縦60センチ横30センチ高さ3~4センチ)で作ります。土をわずか3センチほどの高さで入れ、それを地面や田んぼに置いて育てます。苗箱を置いた場所に5センチほどの高低差があれば、たちまち小さな苗は水没して生育が遅れるということになるのです。
  

次に『田作り』です。


前年の稲刈りから、翌年の田植えまでの期間中、田んぼにおける作業の総称を、田作りと表現します。 

一言で言い表すと、「田をよく乾かすこと」です。

稲刈り後の溝掘りが基本的な作業になります。
秋から翌年の春先にかけて降る雨や雪によってたまる水を速やかに排出するためです。

溝の掘り方には気を配ります。
水を排出したいからといってコンクリート側溝のようにきれいには掘りません。
浅く掘る箇所もあれば、深く掘ったりと、デコボコさせます。
水の流れが早いと土を削るため緩やかに排水出来るように努めます。

また、田を乾かすことで得られる好例の一つは、田の土をよく乾かした後に水が入ると、土の中に無数に存在する微生物により、稲が吸収しやすい物質が作られます。それを乾土(かんど)効果と言います。
肥料を入れない自然栽培では、その自然界の仕組みを利用したりします。

稲刈り後に田んぼ全面に散った「稲わら」の扱い方にも気を使います。

稲刈り後、田んぼの四隅に稲わらが盛られている箇所は熊手などで、辺りに散らします。
翌年の春に水を入れるまでに、風や雨に当てて出来るだけ風化させポロポロにしたいからです。
ほとんど分解が進んでいない稲わらが土中にある状態で水が入ると、田植え後のまだ幼い稲にはあまり良くないのです。


最後に、『土作り』です。


田んぼの土に物理的、化学的な変化を起こし、稲がよく育つ土に変えていきす。

一言でいうと、「何も入れない」ことが重要です。

土作りの根幹をなすのは、田に生える草や周囲の生き物です。
また、稲を栽培することが、実は土作りになっていることは忘れられがち。

土作りといえば堆肥、と言われています。
稲作りには、僕は堆肥を使いません。そして必要がないのでは?と思っています。
堆肥には大きく分けて二種類あります。栽培作物残渣、または河原や土手の植物を山積み・切り替えしなどを行い腐熟させた植物性堆肥、そして主に鶏・豚・牛の家畜糞を利用した動物性堆肥です。
どのような堆肥にせよ、自分の田んぼにもともと存在しない物を、他から持ってきて田に入れると、その入れたものを分解する微生物が増えます。
それが必ずしも稲によいかどうかは分かりません。


僕が土作りに関して行っていることは、春先まで田を耕さないことと、出来るだけ草を生やしておくことです。

田を耕さない状態での草の生え方がある程度指標になると思っています。

やはり、水はけが良くない田んぼほど稲の生育が良くなく、収量が多くありません。

田を耕す代わりに溝を掘り、草が生えやすい環境を整えるようにしています。



終わりを思い描くことから始める


どんな稲に育てたいか、どんなお米を取りたいかを考えるために、僕は上記のように似たような言葉を使い分けるようにしてます。

無農薬栽培と聞くと、真っ先に除草がたいへんというイメージは間違いではありませんが、それは『米作り』という仕事の中の一つに過ぎません。
草を抜くために稲を育てているわけではないのです。


一番重要なのは、どんな稲を育てたいか、どんなお米をお客様に提供したいかだと思います。

そのための、草抜きであり、田んぼを水平に耕す技術だったりするのです。




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by asse_everblue206 | 2019-02-15 22:54 | 自然栽培

有限会社安達商店 四代目のブログ 米屋で自然栽培農家でフルマラソンランナー。


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