稲の無農薬栽培をする時に避けては通れない仕事があります。
それが、除草。
その除草作業がここ二年間、さほど苦ではなくなってきました。
苦ではない、というのは機械除草だけで除草を終えることが出来るようになってきたということ。
結論を先に述べますと、早期湛水と二度の代かきの組み合わせで草の発生そのものを抑えることか出来るようになってきました。
※一回目の除草作業の様子、除草機:和同製
目次
除草しても抜ききれない草たち草を生やさない田んぼの仕上げ方草を生やさない管理を目指そう除草しても抜ききれない草たち
令和3年、今年で水稲の無農薬栽培を始めて9年が経ちます。
そのうち7年間は田んぼに生える草との戦いといっても過言ではありません。
生えてきた草を抜こうとしてもまず無理でした。抜ききれません。
ポイントは、生える前に抜くこと。そして理想は、草が生えにくい土にしてしまうことです。
ここ2年は草の発生を抑えることができており、除草作業というよりただ土を攪拌しているだけのような気になります。
草を生やさない田んぼの仕上げ方
草を生やさない田んぼの仕上げ方、それは早期湛水と2度の代かきの組み合わせ、です。
一回目の代かき+早期湛水
まずは、早期湛水。一回目の代かき後に、一ヶ月ほど田んぼに水を張ったままにしておきます。
当地では5月の連休辺りから水が来ます。それまでに荒起こしは済ませて、10日〜15日ほど田の土を乾かしておきます。
水路に水が来れば、田んぼの乾き具合をみて入水。田により水のもちが違うので、代かき当日に半分ほど土が出ている状態を目指します。
一度目から丁寧にロータリーで代をかく。かきすぎないことが重要です。ただし、ロータリーならそれほど細かくはなりません。
主変速4、副変速1で2周かいて、うちの田んぼではちょうど良いです。
※田起こし後の土塊の大きさによります。僕は春起こし一回で、こぶし大の大きさ。その大きさの土塊を砕くのには1周では足りないため、2周かきます。耕起の時点でティッシュをまるめた程度まで小さくなっていれば、1周でよいのかもしれません。
均平作業も兼ねているのであまり水を入れすぎないようにします。深すぎず、浅すぎず。代をかいた後に2センチ~3センチ水が乗る程度を目指します。
それくらいの水の量だと、高低差がわかりやすいです。
※土塊が大きいと多めに入れたくなります。1周目で土が水に全部隠れてしまうようでは入れすぎです。2周目で隠れる程度にとどめましょう。
一回目の代かき後、そのまま湛水状態を20日~30日続けます。
水位は10センチくらいまで上げてもいいかと思います。水持ちがよすぎる田んぼは、5センチ程度でおさえたほうが後々楽です。
二回目の代かき
そして、田植えの前日、二回目の代かきを行います。
僕は代かき後の水は排水しないので、多ければ代かき前に流します。
水位は代かき前に5センチほど、代かき後に1センチ~2センチほど水が乗るくらいがベスト。
一度かいているとはいえ、二回目をかくと多少土が盛り上がります。少し水が多いかなと思うくらいでちょうどよいようです。
※前日の雨などで水位が高すぎる場合は、代かき前に水を抜いておきましょう。
水を張ったまま田植え
二回目の代かき後に、水を張ったまま田植えを行います。1センチ~2センチくらいの水位が理想です。
田植え期のタイヤに土が付きにくく、また移植後の穴を水がすぐに埋めてくれます。
田植え後はただちに苗の大きさに合わせ5センチ以上になるよう水を張ります。
二回目の代かきから7日以内に一回目の除草
二回目の代かき後から一週間以内に一回目の除草作業に入ります。
田植え後からでは5日~6日目ということになります。
早期湛水を経て二度の代かきをしていれば、土の粘度が上がっているので、除草機で攪拌を行っても簡単には抜けにくくなっているはずです。
一週間~10日おきに計4回の除草
あとは一週間おきくらいの頻度で除草作業に計4回ほど入れば、手除草とはおさらば。
ほとんど草のない田んぼが出来上がります。
草を生やさない管理を目指そう
『自然栽培では、代かきを「荒く」「浅く」行いましょう。』
僕が初めて耳にした情報の一つです。
2013年当時、自然栽培どころか、そもそも米作りをしたことがなく、なにもかも一からでした。そんな時に仕入れた情報の根深いこと。
それから先入観を解くのに実に7年くらいかかりました。
どうしても草抜きの労働から解放されない。そこで、偶然代かきを2周した時に、草の生え方に変化が起こっていることに気づきました。
それまで、一回目の除草作業時には種から根が出始めたばかりの草の種がわんさか浮いてきていました。代かきを二回して、大量の草を処理したにも関わらずです。
二回の代かきには何の意味もないよ、と草から言われているようにも感じました。
ところが、代かきを丁寧に行うようになると、一回目の除草時でほとんど草の種(根だけが伸びたもの)が浮いてこなくなりました。
前作で草を大量に生やしてしまった田んぼでは、やはり草の種が浮いてきます。しかし、その翌年からは半減しました。
結局、僕がしていることは、従来の代かきと同じです。
丁寧に代かきを行うことで、草の抑制になっていたのです。もちろん、田んぼが平らであること、水を張ったままの田植え、一回目の除草作業に入るタイミングなど、気を付けることはいくつかあります。
ただ、以前の「荒く・浅く」代かきをしていた頃よりは、ずっと草の管理は楽になりました。
昨今、発売されている除草機は、「生えた草を抜くこと」を前提にしているように思えます。
動画サイトなどでの紹介の仕方が物語っています。大きな草が生えているところを、掃除機をかけるように草を抜いていく様は一見感動すら覚えます。
しかし、ひとつ言えるのは、生える前に抜くか、草を生えないようにしてしまうほうが、精神的にも体力的にもずっと楽です。
炎天下に草抜きをしている方、手除草はもう止めたい方の参考になれば幸いです。
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